今回の解決事例で書かれている内容(目次)
依頼者は中国企業を相手に化粧品を販売していましたが、取引量が増えてきたため、企業法務の中でも契約書に強い弁護士が売買基本契約書の作成を担当した成功事例です。
咲くやこの花法律事務所の契約書に強い弁護士が依頼者のビジネスや取引内容を詳しくヒアリングして、依頼者の立場に立った最適な売買基本契約書を作成することに成功しました。
依頼者は、咲くやこの花法律事務所の弁護士に依頼する前も契約書を作成していましたが、依頼者が作成していた契約書には、たとえば以下の問題点がありました。
1,いつの時点で商品の引き渡しが完了するかが曖昧で、例えば輸送中に商品が破損した場合、売主である依頼者の責任になる可能性がありました。
2,中国企業との間で紛争が発生したときに紛争を処理する機関が決まっていなかったので、日本で紛争を解決できない可能性がありました。
3,どの国の法律が適用されるかについて、中国企業と合意が成立していませんでした。
既存の契約書の問題点を踏まえ、以下の通り、最適な売買基本契約書を作成しました。
既存の契約書の問題点を踏まえ、依頼者が商品を日本国内で最初の運送人に交付したときに、引き渡しが完了し、所有権も移転することを契約書上明記しました。
この場合、日本国内で引き渡しが完了し所有権が移転するので、例えば船で輸送中、商品が壊れても、買主である中国企業の負担となります。
保険の申請等も買主である中国企業の責任で行うことになります。
たとえば、売買代金の支払いがされないなどのトラブルが発生した場合、買主である中国企業の拠点が日本国内になければ、日本で裁判を起こし勝訴しても、中国企業の財産について強制執行することができません。
一方で、売買代金が支払われない場合に、中国で裁判を起こすことも現実的ではありません。
そこで契約書では、紛争解決の方法として、一般社団法人日本商事仲裁協会による仲裁で解決することを定めました。東京と大阪に一般社団法人日本商事仲裁協会の事務所があり、一般社団法人日本商事仲裁協会の仲裁であれば中国でも通用します。
このように定めることで中国企業相手の紛争であっても日本国内で解決することができます。
新しい契約書では、紛争解決のルールとして「国際物品販売契約に関する国際条約」(CISG)を基準にしました。
この「国際物品販売契約に関する国際条約」は、中国も日本も締結しており、両当事者にとって共通のルールとすることができます。さらに「国際物品販売契約に関する国際条約」は日本語に翻訳もされており、紛争になった際に日本国内の第三者に理解してもらうことも可能です。
契約書は、企業の取引トラブル防止のリスク対策として基本です。 具体的な取引の内容に即した最適な契約書を作成したうえで、トラブルに備えて自社を守るため契約条項をいれておきましょう。
本件のような国際取引は異なる言語・異なる文化に属する者同士ですから、契約書がなければトラブルになったときに話し合いがスムーズに進まない可能性が高く、特に注意が必要です。
また契約書は、常に最新のビジネスの状況に合わせて、弁護士に契約書のリーガルチェックを依頼し、定期的に見直しておくこともオススメします。
咲くやこの花法律事務所の「契約書に強い弁護士への相談サービス」への今すぐのお問い合わせは、以下の「電話番号(受付時間 9:00〜23:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受付していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
著者:弁護士 西川 暢春
発売日:2021年10月19日
出版社:株式会社日本法令
ページ数:416ページ
価格:3,080円