スポーツ用品店の依頼を受け、プロスポーツ選手とのスポンサー契約書をサポートした事例
契約書の解決実績

スポーツ用品店の依頼を受け、プロスポーツ選手とのスポンサー契約書をサポートした事例

スポーツ用品店の依頼を受け、プロスポーツ選手とのスポンサー契約書を作成した事例

この成功事例を紹介する弁護士

  • 弁護士  小田 学洋
  • 咲くやこの花法律事務所  弁護士  小田 学洋

    出身地:広島県。出身大学:広島大学工学部工学研究科。主な取扱い分野は、「労務・労働関連(企業側)、債権回収、システム開発トラブル、運送業関連、フランチャイズ契約トラブル、顧客クレーム対応、インターネット上の誹謗中傷対応、顧問弁護士業務など」です。
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1,業種

 

「スポーツ用品店小売業者」の事例です。

 

2,事案の概要

 

本件では、相談者がプロスポーツ選手との間で締結するスポンサー契約の作成を依頼したいということで、咲くやこの花法律事務所にご相談がありました。

相談者が販売する競技用具をプロスポーツ選手に試合で使ってもらうことで相談者の知名度を高めることや、相談者が販売する競技用具の広告宣伝にこのプロスポーツ選手の氏名や写真を使用することをお考えでした。

ただし、広告宣伝効果のためというだけでなく、このプロゴルファーを応援するという気持ちで契約を締結するということでした。

 

3,ご相談内容の解決結果

 

スポンサーである相談者が提供する競技用具について、提供する数量や範囲を確定して契約書に規定しました。

また、契約の相手方であるプロスポーツ選手が提供された用具をどの範囲で使用する義務があるかという使用義務の範囲についても規定しました。

また、この選手は若いながらもトーナメント優勝経験もあり、今後の活躍が期待される選手でした。そのため、この選手が将来、他社との間で同様のスポンサー契約を締結する可能性があることから、相談者がこの選手の他のスポンサーとの間で紛争になることを防止する規定を盛り込みました。

それに加えて、相談者が相手方であるプロスポーツ選手を応援する目的で契約を締結したことも明示し、満足いただける契約書を作成できました。

 

4,問題解決におけるポイント

 

本件のスポンサー契約では、相談者が販売している競技用具を選手に提供し、試合でその用具を使用してもらうことにより、相談者の知名度の向上や売上増につなげることが目的でした。

一方で、相談者は、以前から相手方の選手を知っており、相手方がアマチュアの時代からその活動を支援していました。そのため、今回の契約は、単なるビジネスとしての契約にとどまらず、相手方を応援するための契約でもあるということでした。

相談者はこれまでも相手方に対して、競技用具の無償提供をおこなっていましたが、今回は、スポンサー料の支払いによる金銭的支援もおこないます。

そこで、この機会に、提供する競技用具の種類や数量、スポンサー料の額、相手方の広告宣伝への協力義務の内容などをスポンサー契約としてきちんと締結することにしました。

本件契約において、上記のような背景を踏まえたうえで、以下のポイントを検討しました。

 

(1)用具提供の範囲

 

本契約では、相談者の販売する競技用具を、継続的に無償で選手に提供するかわりに、試合で使ってもらい宣伝することが目的の1つでした。

しかし、相手方プロスポーツ選手から、無制限に新しい競技用具の供給を求められると相談者の負担が大きくなりすぎる恐れがありました。

そこで競技用具の提供条件について定める必要がありました。

 

(2)相手方の用具使用義務

 

相談者にとっては、提供した競技用具を相手方であるプロスポーツ選手が使用していることがメディアにより取り上げられなければ、宣伝になりません。

そのため、どのような場合に相手方が、提供した競技用具を使用しなければならないかを定める必要がありました。

 

(3)広告宣伝への肖像等の利用許諾

 

相談者は、相手方に実際に競技用具を使用してもらう以外に、提供した競技用具を「●●選手モデル」などと相手方の氏名を冠して販売することを考えていました。

また、商品販売時のポップやWEBページに相手方プロスポーツ選手の写真を使うことも想定していました。

そのため、それらについての規定も定める必要がありました。

 

(4)広告宣伝活動への協力

 

相談者には、相手方プロスポーツ選手に相談者が行う販売促進行事(チャリティーイベント等)に参加してもらいたいという希望がありました。

これらの義務についても規定することとしました。

 

(5)契約の終了条件

 

スポンサー契約による宣伝の効果は契約後のプロスポーツ選手の実際の活躍状況により違いがあることが予想されます。また、プロスポーツ選手の社会的評価が悪くなることによって、競技用具を使ってもらうことが宣伝にとって逆効果になる場合も考えられます。

そのため契約期間の途中でも契約から離脱できる条件とその際の清算方法について定めることにしました。

もっとも、これまでも相手方を応援してきたことから、相談者としては宣伝効果が発揮されない場合でも、安易に解約することは考えていないということでした。

 

(6)相手方を応援するための契約であることの明示

 

今回の契約は、相談者にとって、これまで相手方を応援してきた延長線上にあるものでした。

そのため、相手方プロスポーツ選手を応援するために契約することがわかるようにしたいという要望がありました。

 

5,担当弁護士の見解

 

相談者がこれまで相手方プロスポーツ選手を支援してきた内容を基に、今回の支援を追加することを基本として、各ポイントについて以下のとおり取り決めることができました。

 

(1)用具の性質に応じて提供範囲を規定した

 

相談者の立場からは、競技用具の提供が無制限になると相談者の負担が大きくなるという不安がありました。

そこで、相談者による競技用具の提供が無制限にならないようにし、かつ、必要なものは提供できるようにするため、スポンサー契約で競技用具の種類によってその提供条件を定めました。

具体的には、相手方がプレーで直接使用する競技用具については、プレー中に壊れることなどもあることを想定して、提供する数に上限数を設定しないことにしました。

ただし、相手方から、合理的な理由なく、競技用具の提供を求められても困るので、相手方から、競技用具の追加提供の請求があったときに、相談者が提供の必要性を判断して提供するものとしました。

一方、プレーに直接使用するものではないバッグなどは、契約書に提供数の上限を定めました。

ただし、相談者の都合で、例えば、デザインの異なるモデルを相手方に使用してもらいたいという場面もあるため、そのような場合は、相談者の要望に応じて、相手方も交換に応じてもらうことを規定しました。

また、広告宣伝効果を高めるため、バッグには、相談者の社名ロゴを入れることも規定しました。

 

(2)相手方が用具使用義務を負う範囲を規定した

 

提供した競技用具については、メディアに取り上げられる可能性が高い公式戦では、相手方にやむを得ない事情がある場合以外は必ず使用しなければならないものとしました。

公式戦以外での使用については、相手方の状況を配慮して決めたいという相談者の考えから、明確には規定せず、契約締結後の協議事項としました。

また、本件の契約は1年契約でしたが、感染症の流行などにより開催される公式戦の数が減少する可能性がかなり高いと予想される状況でした。

そこで、規定の試合数に達するまでは、追加のスポンサー料なしで、契約期間を延長することを規定しました。

 

(3)広告宣伝への肖像等の利用許諾範囲を規定した

 

相談者は、自社のホームページや店頭のポップなどに相手方の氏名や写真を自由に使用できることを契約書に規定しました。

その代わりに、相談者による氏名や写真の使用態様が不適当な場合は、相手方の申し入れにより変更や削除を行うこととしました。

また、契約期間終了時には、相談者が相手方の名前や写真を使用する権利も消滅するものとしました。

ただし、相談者が使用中の名前や写真を削除するにあたって過度の負担とならないように、契約終了後直ちにではなく、一定の期間内に削除すればよいということにしました。

 

(4)他のスポンサーとのトラブルの防止

 

支援する金銭や提供する競技用具が限定されていることから、相談者は、相手方が他社とスポンサー契約を締結することを禁止しないとの考えでした。

ただし、相手方が他社と独占的なスポンサー契約をすることで、相談者が相手方の名前や写真を自社製品の販売に使用することができなくなったり、相談者が他社とトラブルになることは避ける必要がありました。

そこで、スポンサー契約書で、相談者が相手方の名前や写真を使用しても、相談者と他社との間で問題がおきないことを相手方が保証する内容の契約条項を盛り込みました。

 

(5)相談者の広告宣伝活動への協力義務を規定した

 

相談者は、相談者が主催する販促活動への参加は、相手方の選手活動や他のスポンサーとの関係で支障が出ない範囲で行ってもらえばいいとの考えでした。

そこで、これについては相手方の努力義務としました。また、相手方プロスポーツ選手に相談者の販促活動に参加してもらった場合は、参加する販促活動ごとに相手方に報酬を支払うこととしました。

 

(6)契約の途中解除について規定した

 

スポンサー契約に対する違反があったときや、スポンサー契約の継続が相談者の知名度や売り上げに悪影響がある場合には、スポンサー契約を途中解除できることを明記しました。

 

(7)応援の意思により契約することを契約書内に明示した

 

契約書内の目的条項において、本契約は、相談者が選手を支援するために締結するものであることを規定しました。

このような条項は直接、法的な意味を持つものではありません。しかし、契約書の各規定を解釈する際に、本契約の趣旨に選手の応援の意味があったことが考慮されることになります。

 

6,解決結果におけるまとめ

 

以上の通り、スポーツ選手とのスポンサー契約では、選手個人とのそれまでの関係や、スポンサー企業の目的、企業がスポーツ選手に提供する内容など、個別の特殊性を踏まえて、作成することが必要です。

本件では、相談者から事情を聴きとり、その内容を反映した契約を作成しました。

契約書関係については以下の記事もご参照ください。

 

 

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8,【関連情報】この事例に関連した解決実績

今回は、「スポーツ用品店の依頼を受けプロスポーツ選手とのスポンサー契約書を作成した事例」について、ご紹介しました。

他にも、今回の事例に関連した契約書関係の解決実績を以下でご紹介しておきますので、参考にご覧ください。

 

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