今回の解決事例で書かれている内容(目次)
本件は咲くやこの花法律事務所のGooglemapに投稿された事実に反するクチコミコメント(レビュー)についてGoogleに削除請求を行い、削除に成功した事例です。
削除したのは以下のクチコミです。
このレビューが投稿された経緯は以下の通りです。
咲くやこの花法律事務所では、事務所の主要業務である企業法務、顧問弁護士サービスのほかに、障害をお持ちの方のために年金請求の無料相談をお受けしていた時期がありました。
上記のクチコミコメント(レビュー)は、その無料相談にお越しになった相談者が相談後に投稿したものです。
この相談者は、相談に対する回答が自身の意向に沿う内容にならなかったことに立腹し、相談を担当していた女性の社会保険労務士がいる前で机をたたくなどして暴言を吐くなどしたため、やむを得ず、男性職員が対応してお帰りいただいたという経緯がありました。
相談者は帰宅後に星1つのレビューを投稿をしました。この時点では星1つの投稿のみでコメントの記載はありませんでした。
しかし、その後、相談者は、星1つのレビューにクチコミコメントを追加し、概要以下のような記載をしました。
しかし、実際は、 相談者が机をたたき、暴言に及んだため、相談担当者の安全を守るために、相談を中止してお帰りいただかざるを得なかったもので、事実無根の不当なクチコミでした。
そのため、事務所としては、このレビューについてGoogleへの削除請求を行うことにしました。
Googleの米国本社にレビューの削除依頼を証拠資料を添付して送付し、約3ヶ月で削除することができました。
なお、削除までに3ヶ月かかったのは、この削除申請を行った時期がコロナウィルス感染が米国で問題になっていた時期で、Googleが通常通りの業務をできておらず、対応が遅れたことが影響している可能性があります。
顧客からのレビュー(クチコミ)については、Googleは、その内容が虚偽であることを立証しない限り、原則として削除に応じてくれません。
今回の、クチコミコメントの内容は虚偽でしたが、投稿者が相談中に暴力、暴言に及んだことの直接の証拠(例えば動画など)はありませんでした。
そのため、クチコミコメントが虚偽のものであることをどのようにして立証するかが最も重要な課題になりました。
咲くやこの花法律事務所で実際に行った対応は以下の通りです。
レビューが投稿された経緯のところでご説明したように、最初は星1つのコメントのない投稿がされました。
コメントのない星1つのみの顧客からのレビューについてGoogleが削除に応じることは原則としてありません。
そのため、弊事務所としては、削除できないことはわかっていたものの、投稿者自身が暴言を吐いたために相談を中止せざるを得なかったのに、その腹いせに星1つのレビューを投稿するということはあまりにも不当だと考え、この段階で、Googleに文書を送付して、星1つのレビューの削除の請求を求めました。
具体的には、「送信防止措置依頼書」という表題で、相談者の暴力、暴言があり相談を中止したことの腹いせに星1つのレビューが投稿された経緯を説明する文書を送って、Googleに削除を求めました。
しかし、この時点では、予想通り、Googleがレビューを削除することはありませんでした。
その後、投稿者は、星1つのレビューに、前述のコメントを追記しました。
コメントが追記されたことで、これが虚偽であることを立証すれば削除することが可能になったと考えることができました。
Googleに削除に応じてもらうためには、クチコミコメントが虚偽であることの証拠を丁寧に集めて、その説明をしたうえで、Googleに送付する必要があります。
本件のような暴力、暴言については、動画などがあれば最も有力な証拠になりますが、事務所では相談者のプライバシーなどの観点などから動画等の撮影はしていません。
そのため、暴力、暴言を記録した直接的な証拠はなく、どのように立証するかが課題となりました。
結論としては、多数の間接的な証拠をGoogleに提出することで立証しましたが、その中のいくつかをご紹介すると以下のようなものがありました。
●相談を担当した社会保険労務士の報告書
相談を担当した社会保険労務士に、守秘義務に抵触しない範囲で、暴言や暴力の内容を報告書にまとめて、署名、捺印したものを用意しました。
●相談後に事務所の防犯機能を強化することになったことがわかるメールのコピー
事務所では、この相談者の相談後に、相談室への防犯ベルの設置など、防犯体制を強化することになりました。
ちょうど、この相談者による相談後に、事務所のメンバーに防犯体制についての意見を聴いたり、防犯ベルを設置したことを知らせたメールが残っていましたので、そのメールのコピーを提出することで、相談時に相談者による暴力的な言動があったことの間接的な立証を試みました。
●前回の送信防止措置請求書
星1つでコメントがないレビューが投稿された時点で送っていた送信防止措置依頼書も証拠として再度提出しました。
前回の送信防止措置依頼書を送ったのは、これを送ることで、Googleに対して、本件のレビューの投稿の経緯についての弊事務所の主張が一貫していることを印象付けることができると考えたためです。
Googleに対する削除請求では、証拠のほかに、削除を求める根拠などを記載したGoogle宛ての送信防止措置依頼書を送付する必要があります。
送信防止措置依頼書には、コメントの投稿が法律上、名誉棄損にあたるため、Googleに法的な削除義務があることをわかりやすく記載する必要があります。
また、Googleのポリシーと規約に照らして、カリフォルニア州法に準拠して削除の請求を行う必要があります。
本件では、相談者が暴力的な言動に及んだため相談を中止した結果、虚偽のクチコミが投稿されたという経緯を再度詳細に説明し、さらに、それを前述の証拠資料により根拠づける説明と、法的に名誉棄損に該当することの説明を送信防止措置依頼書の中に記載しました。
Googleのレビューの削除の請求は、以前はGoogleの日本法人に文書を送付することで可能でしたが、現在は、米国本社に送る必要があります。
米国本社への送付のため、文書の英訳作業を行ったうえで、日本語の文章と英訳文の両方を同封してGoogle本社に送付しました。
仮にGoogleが削除に応じてくれる場合でも、削除がされるまでに相応の期間がかかります。
削除までの期間、虚偽のクチコミコメントが、一般のインターネットユーザーの目に触れることが予想されますので、レビューに対する返信機能を活用して、虚偽のクチコミコメントに反論することにより、一般のインターネットユーザーの誤解を招かないように対策することも必要です。
本件でもクチコミコメントに対する返信を行って、このクチコミコメントが虚偽であることをネットユーザーに伝える対応をしました。
なお、Googleのレビューに対する返信機能については詳しくは以下をご参照ください。
送信防止措置依頼書をGoogleに送付した後、約3ヶ月で問題のレビューは削除されました。
なお、Googleからは削除した旨の通知はありませんでした。
本件では、多数の証拠によって投稿されたコメントが虚偽であることを丁寧に根拠づけたことや、1回目の削除申請からの主張の一貫性をGoogleに示すことにより、削除に成功しました。
Google Mapへの誹謗中傷のクチコミ投稿に悩んでおられる方の参考になれば幸いです。
なお、今回は、弊事務所自身への投稿の削除の事例の1つをご紹介しましたが、中小企業や医療機関の方が誹謗中傷的なGoogle Mapのレビューに悩んで、事務所にご相談いただくケースが増えております。
その場合におさえておいていただきたいのは、以下の点です。
星1つでコメントなしの投稿や、「電話対応が悪いと感じた」など投稿者の感想のようなコメントは、虚偽であるといえないため、弊事務所にご依頼いただいても削除できないことがほとんどです。
この場合は、削除を申請したほうが良いと思います。
そのため、弊事務所にGoogle Mapのレビューの削除をご依頼いただくの場合の費用は、一番簡単な事例でも15万円程度の着手金と英訳費用や郵送費用などの実費をご負担いただくことになることをご理解いただきますようにお願いいたします。
なお、Googlemapのクチコミの削除については、以下で詳しくご説明していますのであわせてご参照ください。
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