今回の解決事例で書かれている内容(目次)
本件は、土地売買契約の際に交付された手付金の返還が問題となった事案です。
土地の売買契約の段階では、土地が買主の購入目的に合致するかどうかが不明であるという事情がありました。そのため、買主は、「早期に土地売買契約を解約すれば売主は手付金を買主に返還する」ことを売主に承諾してもらったうえで、土地の売買契約を締結しました。
しかし、買主が約束の期限までに解約したにもかかわらず、売主が上記のような約束はなかったなどと主張して手付金の返還を拒絶しました。
交渉から事件に着手しましたが、交渉ではまとまらず、 裁判をしたうえで相手方の銀行預金の差押え手続をとり、全額を回収することができました。
本件では、「(1)返還合意の有無」と「(2)裁判勝訴後の債権の回収方法」が問題になりました。
本件では、相手方が手付金の返還合意があったことを否定していたので、返還合意があったことを立証できるかがまず問題となりました。
返還合意を記載した覚書などの書面は作成されていませんでした。そのため、弁護士が、当時のやりとりについて依頼者(買主)から聴き取りを行いながら、関係資料の確認を行うこととしました。
本件では、相手方が交渉にも応じず、裁判も出席せず無視する等、一貫して不誠実な対応をとり続けていました。
そこで、このような相手方に勝訴しても、どのようにして実際に手付金を返還させるかという、裁判勝訴後の債権の回収方法が問題となりました。
担当した弁護士の見解は、以下のとおりです。
本件では、土地の売買に関して、売主、買主間でメールで細かなやりとりをしていました。返還合意の件もメールの履歴に残っていたため、合意を証明することは可能と判断しました。
そこで、弁護士から相手方に内容証明郵便を送付して、手付金の返還を求めました。しかし、相手方は話合いにまったく応じず、連絡すらままならない状態であったため、交渉による解決は不可能と判断し、手付金の返還を求めて裁判を提起しました。
裁判には勝訴したものの、どのようにして実際に手付金を返還させるかという問題がありました。
裁判すら無視するような相手には、強制的に財産を押さえる、「差押え」の手続きが必要となります。特に今回のケースのように不誠実な債務者の場合は、財産を隠して、差押えを回避しようとするおそれがあります。
そのため、早急に差押えの手続きをとる必要がありました。
そこで、事前の調査により判明していた相手方の銀行の預金口座に対して債権差押え手続をおこないました。その結果、手付金全額を実際に返還させることに成功しました。
今回のように、相手方に支払うべき債務があるにもかかわらず、相手方が話し合いに応じない場合は、解決のために弁護士の介入が必要です。
当事者同士の話合いには応じないような相手も、弁護士から内容証明郵便を送り督促することで、話し合いに応じる姿勢を見せ、支払に向けた解決ができる場合がほとんどです。ただ、本件のように、相手方が、弁護士から内容証明郵便を送ってもまったく話合いに応じないような、極めて不誠実な人物である場合もあります。
このような場合、「裁判」や「財産の差押え」などの手続きをとらなければ回収は実現できません。
債務者の財産は時間がたつごとにどんどん散逸し、あるいは隠蔽されるおそれがあるため、「財産の差し押さえ」は早期に行う必要があります。不誠実な相手方で、交渉が難航している場合は早急に弁護士にご相談ください。
▶参考情報:財産や銀行口座の預金差押えの方法については以下でも解説していますのでご参照ください。
咲くやこの花法律事務所の「債権回収に強い弁護士への相談サービス」への今すぐのお問い合わせは、以下の「電話番号(受付時間 9:00〜23:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受付していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
今回は、「裁判で勝訴!土地売買契約の手付金返還請求トラブルで、銀行預金を差押え手付金全額の返還に成功した事例」について、ご紹介しました。他にも、今回の事例に関連した債権回収の解決実績を以下でご紹介しておきますので、参考にご覧ください。
・資力のない施主と粘り強く交渉して建築工事代金の全額回収に成功した解決事例
・契約上の返金義務を履行しない相手方に対し法的手段をとり、全額返金させた事例
・施主と連絡がとれず未払いになっていた内装工事費について工事業者の依頼を受けて全額回収した事例
・未払い設計料や工事代金の回収依頼を受け、施主のショッピングモールに対する預り金債権を仮差押えできた成功事例
・相手の会社の銀行預金を差し押さえた結果、債権全額の回収に成功した事例