今回の解決事例で書かれている内容(目次)
「税理士事務所」の事例です。
本件の相談者は税理士事務所です。
税理士事務所がクライアントからの費用の回収ができないまま長期間が経過して回収の目途がないため、なんとか回収できないかと咲くやこの花法律事務所に相談に来られました。
相手方である会社は、十数年前から顧問料などの支払を滞納するようになりました。支払いの遅延の理由は経営が苦しいとのことでした。
付き合いが長かったこともあり、相談者はその顧問先から「利益が出て支払う余裕ができたときに支払う」と約束してもらったうえで、当初は支払いをしばらく待ちました。
しかし、その後も会社の利益はなかなか回復せず、年間に数回、少額の支払がされるにとどまっていました。支払を催促しても、のらりくらりと言い訳をされる日々が続き、顧問料や決算書類作成料の未払いが積み上がっていきました。
その状態が10年以上つづいたため、相談者も顧問契約を打ち切り、決算書類の作成もやめました。そのため、未回収の債権が増えることはなくなりましたが、年間の支払いはやはり10万円程度しかありませんでした。
相談者は、付き合いの長い相手でもあり、自分で督促しても、らちがあかないと感じていました。
その時点で未回収の顧問料や決算書類作成料は合計で約400万円にのぼっており、返済が従来のペースで続くのであれば約40年かかる計算でした。
相談者もこのまま40年も回収をつづけることは現実的とは思っておらず、半ば回収をあきらめていました。そのような中で、専門家に任せればなんとかなるかもしれないと考えて咲くやこの花法律事務所にご相談にお越しになりました。
弁護士が交渉することにより、交渉開始から4か月間で、支払いがされていなかった債権のうち約半額について、弁済計画を合意することができました。
そして弁済計画の合意をした金額のうち、約9割にあたる185万円を実際に回収し、残りについても回収する目途をたてることができました。
以下では、問題解決において担当の小田弁護士が取り組んだ課題について詳しく解説していきます。
本件で、相手方の会社に対する債権の内容は月額の顧問料債権と年度ごとの決算書類作成料債権でした。
これらは口頭で費用をさだめており、契約内容を書面にしていませんでした。相談者は、毎回請求書を発行し、それに対して相手方は振り込む方法で費用をはらっていました。
ただし、支払いが遅れ始めてからは、請求書の請求金額・支払期限と実際の支払額、支払時期が対応していないという問題がありました。
そのため、遅れて支払われる弁済が、支払いが遅れている債権のうちどの債権の支払いなのかがあいまいになっていました。
弁済されていない債権のうち古いものは弁済期が10年以上前になっており、放置すると、会社から時効を主張される可能性がありました。
相手方の会社は、相談者に対し、お金が無いと説明して支払の猶予を依頼していました。
このような場合も安易にその説明を信用せず、説明が事実かどうかを検証することが重要です。
本件では、相手方の会社と相談者との間で税理士顧問契約があった当時は相手方の会社にめぼしい資産はありませんでした。ただし、顧問契約終了後は財務状況を把握できていないため、本当に相手方にお金がないのか不明でした。
そこで、相手方の会社の状況を調査し、早期に回収するための方法を検討し、交渉する必要がありました。
以下では、担当弁護士の方針について詳しく解説していきます。
相談者が相手方に対して有している債権は、一つの債権ではなく、毎月発生していた顧問料債権と年に1回発生する決算書類作成費用債権の集まりでした。
相談者から請求した金額と相手方が支払った金額は、お互いに把握していたため、相手方と相談者の間に債権の残高について争いはありませんでした。
しかし、相手方の支払が不規則となってからは、支払金額が請求書と1対1に対応していないため、どの債権がのこっているか判然としませんでした。
このような場面では、債務者に債務額を自認させる「自認書」を作成することが重要なポイントになります。
本件でも、弁護士がご相談をお受けした際に、債権の額について証拠化するために、交渉開始に先立って相手方に債権の自認書を作らせることを相談者に助言しました。
そして、弁護士が、債務の自認書などの書類を作成して準備し、これをもって相談者が相手方と面談して自認書に署名押印をもらいました。
自認書ができた後、弁護士から相手の会社に内容証明郵便を送り、滞納している顧問料や決算料を支払うように督促しました。
内容証明郵便の中で支払い猶予は終了したことを相手方に通知し、直ちに払うように請求しました。
ただし、以前の経営内容から、実際には支払うお金がないことが予想されました。そこで、通知書において期限までに払えない場合は決算書類を提出することを請求し、資産状況を調査しました。
弁護士が相手方から提出された決算書類をしらべた結果、相手方には、不動産など差押えできそうな資産がないこと、決算書類上は大幅な債務超過になっていることが判明しました。
見るべき資産がないため、差押えをすべきものがなく、無理やり差押えても相手方が破産するだけで回収できる見込みがありませんでした。
本件では差押えによる回収が難しいことから、弁護士としては、交渉でなんとか回収することを目指しました。
具体的には、相手方に分割払いにも応じる旨伝えつつ、分割でも1年以内に返済することと連帯保証人をつけることを求めて交渉しました。
これに対し、相手方は、保証人を立てることに難色をしめしました。
そして、銀行借り入れをして半年後に元本の半額を返済するので残りと遅延損害金は免除して欲しいと返済計画を回答してきました。
弁護士は、これまで10年以上かけて回収できなかったことからすれば、債権の半額が1年程度で回収できるのであれば残りを放棄してもメリットがあると判断しました。
相談者にも説明し、半額免除することについて相談者の了解をとりました。そして、相手方に対し、半額は免除してもいいが、銀行借り入れをいそぎ、早急に一括で半額返済するように、相手方に要求しました。
弁護士から相手方を督促した結果、相手方は3か月後に銀行からの借り入れができました。
しかし、融資額が申込した満額にとどかなかったため、相手方から、半額を一括払うことができないとの回答がありました。そこで第1回に可能な限りの支払をおこない、残りは10カ月の分割で支払うことを求め、これを合意書にまとめあげました。
また、少しでも、支払の確実性をあげるため、分割払いについては、相手が毎月手続きをとる必要がない、自動引き落とし手続きを利用させることにしました。
弁護士が相手の実態に即してねばり強く交渉した結果、債権を約半額に減額する代わりに、10年以上未回収となっており、半ばあきらめていた債権を約1年で回収できるめどが立ち、かつうち185万円を実際に回収することができました。
債権回収は、相手方の状況や債権の種類に応じて柔軟な交渉が必要です。
本件では、それまでの債務者との人的関係から、相談者自身による督促では相手方に対し、強く請求しづらい状況にありました。そのため、相談者が自分で相手に督促してもその場しのぎの言い訳をされて回収がすすみませんでした。
そのような場合には、第三者である弁護士を代理人にたてることで、先入観やそれまでの人的関係に縛られることなく交渉することでできます。
結果として、回収額が約半分になりましたが、1年程度で回収する目途が立ち、大変喜んでいただきました。
債権回収でお困りの場合は専門家である弁護士までご相談ください。
また、債権回収については、適切な手段を選択することで回収率が大きく変わってきます。
債権回収に関連するお役立ち情報については、以下の記事で詳しく解説していますのであわせてご参照ください。
▶参考情報:成功する売掛金回収の方法は?未払金回収、売上回収でお困りの方必読
▶参考情報:債権回収とは?成功のポイントをわかりやすく解説します。
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